2018/1/28 殿堂(解除)発表を考察する
当然と衝撃が入り混じった、去年をも超える過去最大級の殿堂発表であった。2011年の大量殿堂にも肩を並べるレベル。
色んな方が既になされていることは承知の上で、自分なりに今回の発表について考えてみたいと思う。
・裏切りの魔狼月下城
<主な被害デッキ> クローシス剣/ドロマーダンテ/武装ビマナ
初っ端から来た予想外枠。獅子王と共にビマナに革命を起こしたカード。
条件が厳しい上にセルフハンデスであるとはいえ、2マナST付き3ハンデスはやはりやりすぎだったらしい。
ただ、これは他の規制によるビマナの相対的強化を抑えるための規制だとも捉えることができる。ドロマーロージアはロージアそのものを、クローシス剣は単騎ラフルルにガロウズとコテンパンにまで規制されているからである。
個人的にも特にGP5thにおいて大変世話になったカード故、殿堂は悲しい。
・龍素知新
まあそりゃそうかといったところ。当然枠。公式はこういう理不尽なループが嫌い。
墓地呪文踏み倒し3種(サイクリカ知新目的不明)のうち、一番やばそうだったサイクリカが生き残ってしまった結果に……。
隠れて手持ちのロマノフサインが死んだ。
・超次元ガロウズ・ホール
<主な被害デッキ> クローシス剣/ハンデス/その他ダイスベガスを採用したデッキ全般
折角ダイスベガスのプロモにガロウズのイラストが描かれていたのに、結局死んでしまわれた。予想外枠
ダイスとの組み合わせは脅威的だがはっきり言えばそれだけでもあるので、やりすぎな気がしなくはないが、単騎ラフルル殿堂ネク閣殿堂までし始めるとハンデスがかなりの相対的強化となってしまうので致し方なくというところだろうか。まさかたった今CSプロモで配布中のカードを規制するわけにもいかないだろうし。
ガロウズ殿堂論と言えば、初出はアナデッゾが大流行した時であった。結局あのアーキタイプはバスターに食われ死滅したものの、別の方向から暴れだし規制となってしまったのだ。
ハンデスはまた新たな防御手段を探す旅に出ることとなった。超CSではハンデス握って世話になったのでこれまたなんとも寂しい。
・真・龍覇ヘブンズ・ロージア
<主な被害デッキ> ロージアダンテ
おいおいマジかと言った枠。あまりに予想外というか、公式はロージアダンテに親でも殺されたのかと言わんばかりの規制。
原因の1つは間違いなくGP5thで優勝「してしまった」こと。規制をかけざるを得なくなったはいいものの、ミラクルストップをかけようにも結局ラフルルと併用、サーチカードを代わりに投入などされたらさほど意味がないことからどうしようもなく根元を規制したというところだろうか。
しかし、真の理由はやはり殿堂後の環境ではロージアダンテが最強クラスのデッキと
なってしまうのを危惧してのことだろう。裏切りを失った程度で堕ちるデッキではないことは端からわかりきっている。素直に殴りあう環境になれば、このデッキはかなりの脅威になるだろう。対コントロールにも長けている。
幸いサッヴァークという強力なドラゴンがいるので、ドラゴンズサインを用いたミラダンテは形を変えつつまだまだ姿を見ることになりそう。サッヴァークはどれだけ値上がりするんだ
・破界秘伝 ナッシング・ゼロ
<主な被害デッキ> ジョーカーズ
予想外枠。
「いい加減なにか規制しないとだめだけどニヤリーを規制するとデッキパワーの落ち方がえげつなくなるし、公式の方針と合わなくなってしまう。しかしユーザーからのヘイトを買っているデッキでもあるのでどこか規制を加えないといけない」という流れだろうか。結局最近は使われないことも多いこのカードを規制することでお茶を濁したと受け取れる。
デッキ構築の幅は狭まるがアーキタイプ自体はそこまで被害を受けていない。他のデッキの弱体化、消滅に比べればかわいいもので、今からがジョーカーズの本番のようにも感じる。
・音精ラフルル
<主な被害デッキ> バスター全般/赤青ブランド/サザン
妥当。あまりに当然の結果。
おそらく開発した側は「ただのドレミ団の中継ぎ」としか考えていなかったのだろう。そしてそれは我々もだった。バスターで出せることに気付いたその日までは――。
バスターや青か光のクリーチャーさえ入っていればどこへでも出張していくその姿は可愛い見た目と裏腹に最早寄生虫。折角推し進めてたSSTを完全否定するスペックでもあるので、単騎ともどもやむなしである。
・単騎連射マグナム
<主な被害デッキ> 多色バスター/赤青ブランド/ビートジョッキー/バイク
妥当。実際どうなんだろうという声もあったが、別に規制されたと聞いてもそこまで不思議でもない。
赤青/赤単バイクにおいては特に重要なメタクリーチャーだっただけに隠れてダメージは大きいか。フィーチャー席で殺された原因もあれだし個人的な恨みは深い(使わないとは言ってない)。
「単騎ラフルル」をそろえるのは以前よりか難しくなるが、宝箱でラフルルは持ってこれることもあってそこまで大きくは上がっていない。依然として警戒すべき組み合わせなのは間違いない。
・ベイB ジャック
<主な被害デッキ> 白緑メタリカ/サルループ/その他数多のファンデッキ
ついに死んだ。
有無を言わさぬ一発プレ殿。ようやく規制できたと公式もさぞ清々しいだろう。販売日数の壁は大きい。
死ぬのが見え見えすぎて強いけどレートは上がらないというのも珍しい。色々なことを我々に教えてくれたカードである。パイでも投げて祝ってやろう。
・超戦龍覇 モルトNEXT&爆熱剣 バトライ刃
<主な被害デッキ>モルネク
いよいよネクを本格的に殺しに来たなという印象。こういう形にしてきたのは意外でもあるが、妥当と言えば妥当でもある。
裏の開発陣の苦慮が思い浮かばれる。
閣を殿堂させても意味がない。しかしプレ殿にすると他数多のモルト系カードの立場が消え、みんな大好きドラゴンファンデッキの多くが死ぬ。市場価格にも大きな影響を及ぼし販売店からの信用も失いかねない。
かといってネクストを殿堂させるのは「主人公カードを規制する」ということ。そんなことはもうボルバルだけで十分だ。せっかく集めた子供たちもさがっかりするだろう。よろしくない。最近再録したし。
結果この形に落ち着かざるを得なかったのだと思う。「コンビ殿堂」という形式自体が子供にとっては分かりにくく、トラブルのもとになりやすいのは公式側もわかっているはず。だからこそ母なる紋章が死に、バイスホールが死に、紅蓮ゾルゲは復活した。
しかしここで改めてコンビ規制を復活させたのだ。いかに苦渋の決断だったのかがよくわかるだろう。
大量展開の術をなくしたネクストだが、他のデッキの大幅な弱体化に比べると実はまだマシ説も大いにある。ただし、SSTには要注意と言ったところか。
殿堂解除に目を向けよう。
・天雷の導士アヴァラルド公
3枚を見て呪文をすべて手札に加えられる。ドロマー超次元時代の猛者。
解除発表が出たときはドロマーハンデスやロージアダンテ、ビマナ等での使用が考えられたが、翌日の殿堂発表でその辺のデッキが軒並み壊滅級の被害を受け使用方法の考え直しを迫られることに。個人的には白緑サッヴァークとの相性が気になるところだ。
おいおい。
やっていいの?といった感じの解除。度肝を抜かれたプレイヤーは多いだろう。
バスターで出せるクリーチャーとしては最高レベルのスペックを持つ。チュリスバスターロマネスクという動きはおおよその人が考えたであろう。
ビマナにとっても色基盤と強力ブースト、ブロッカーに加えプチョにチェンジ可能というのはとても大きい。同じ役にはトップオブロマネスクが存在するが、マナのつながり方が全く異なるので上位下位というよりかは使い分けが重要か。
武装軸のデッキから魔狼が奪われてしまった以上、もはや獅子王にこだわる必要もないのかもしれない。
所感
全体的な環境デッキ全般に大きくテコ入れを施している。この規制で全く被害を受けなかったというデッキは数少ない。
できるだけ殿堂後のデッキパワーを均等にするために、つまり先を見越した結果の殿堂も見られる。いわゆる予想外枠がだいたいそうで、その辺も見据えて皆殺しにしたというところか。かなり思い切った規制となったが、そのこと自体は悪くないと思う。
しかし、疑問も残る。おそらくこの記事を読んでいる方も多くが思っているだろう。
たとえば、チュリスバスターに関しては何も影響を受けていない。
ロマネスクの殿堂解除もあり、バスター殿堂フラグかと思いきや全くの無規制。周辺パーツの規制でバスターの弱体化を図ったような形だが、ここでバスターのあまりの多様性が裏目に出た。
ただし対策しにくいわけでもない。新環境ではおそらくトップメタに躍り出るデッキだが、しっかり対策すれば問題ないと判断したのだろう。
あえてこのような封殺系カードのない高速ビートについては手付かずにさせることで、より強力なSSTを作る口実にするといった考え方もある。
次回の記事ではこれから環境デッキがどうなるのかについて予想していきたいと思う(気が乗れば)。